2-1-3. 因数分解
Factorization
因数分解
次以上の整式を ,ある整式を とし,この つの積を展開して得られる整式を とおく。すなわち
が成り立つとき, を で割ると商が となって余りが になる。
整式の除法の原理より,任意の整式 を 次以上の整式 で割ったとき
を満たす商 と 余り がただ 組一意に存在する。ここで,余り の次数は,割る式 の次数よりも小さいか,または である。一方,仮定より は と の積だから
が成り立つ。式 と の右辺はともに に等しいので
移項して でくくると,次式を得る。
ここで, であると仮定する。
このとき, は何らかの整式( でない定数を含む)であるため,その次数は 以上である。左辺の次数を考えると,整式の積の次数はそれぞれの次数の和になるから,
となる。ここで,右辺 の次数は,除法の定義により の次数よりも小さいから, 式と矛盾する。したがって仮定は誤りであり, すなわち
これを 式に代入すると, となり, を得る。
もし が になった場合、いわゆる 除算が許されない範囲においてどのように解釈するべきか、という疑念が生じる。厳密には、後述の環論において、割る式の主係数が単数である(実質的に最高次係数が でない)ときだけ、この操作が許されることがわかっている。したがって が 次以上の整式であることを明記すればよい範囲では、考慮を要しない。
因数分解の諸公式
剰余の定理
整式 を 次式 で割ったときの余りは に等しい。
整式の除法の原理より、任意の整式 を 次式 で割ったとき
を満たす商 と余り がただ1組一意に存在する。ここで、余り の次数は、割る式 の次数( 次)よりも小さいため、 は を含まない定数となる。この定数を とおく。
式 はすべての について成り立つ恒等式だから、両辺に を代入して整理すると
因数定理
整式 であることは、 が を因数に持つ、すなわち
と因数分解できることと同値である。
が を因数に持つ、すなわち割り切れることは、余り が であることと同値である。 したがって、剰余の定理 より
が成り立ち、 であるときに限り は を因数に持つことが示された。