2-1-3. 因数分解

問題 A1
限定的条件における因数分解・展開

実数 x,yx, y はいずれも 00 または 11 のみをとる整数とし,関数 f(x,y)f(x, y) を

f(x,y)=(1−x)(1−y)f(x, y)=(1-x)(1-y)

とする。

問 1

整式 1−x−y+xy1 - x - y + xy を関数 f(x,y)f(x, y) のみを用いて表せ。

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与えられた整式を因数分解するために、式を整理する。

与えられた整式は

1−x−y+xy1 - x - y + xy

である。

まず、この整式において第1項と第2項、および第3項と第4項をそれぞれまとめ、共通因数をつくるために整理する。

(1−x)−y(1−x)(1 - x) - y(1 - x)

ここで、共通因数である 1−x1 - x をくくり出すことで、次のように因数分解することができる。

(1−x)(1−y)(1 - x)(1 - y)

問題の定義より、関数 f(x,y)f(x, y) は

f(x,y)=(1−x)(1−y)f(x, y) = (1 - x)(1 - y)

と定められている。

因数分解によって得られた式と関数 f(x,y)f(x, y) の定義式を比較すると、両者は一致する。 したがって、次の関係式が成り立つ。

1−x−y+xy=f(x,y)1 - x - y + xy = f(x, y)

よって、整式 1−x−y+xy1 - x - y + xy を関数 f(x,y)f(x, y) のみを用いて表すと

f(x,y)f(x, y)

となる。

問 2

整式 1−x1 - x を関数 f(x,y)f(x, y) のみを用いて表せ。

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実数 xx は 00 または 11 のみをとる整数であるため、次のいずれかの等式が必ず成り立つ。

x=0x = 0

または

x−1=0x - 1 = 0

したがって、これらの両辺を掛け合わせることにより、次の関係式が成り立つ。

x(x−1)=0x(x - 1) = 0

ここで、次のような式を考える。

(1−x)2−(1−x)(1 - x)^2 - (1 - x)

この式を共通因数である 1−x1 - x でくくり、因数分解する。

(1−x)2−(1−x)=(1−x){(1−x)−1}(1 - x)^2 - (1 - x) = (1 - x)\{(1 - x) - 1\}

中かっこ内を整理すると、次のようになる。

(1−x){(1−x)−1}=(1−x)(−x)(1 - x)\{(1 - x) - 1\} = (1 - x)(-x)

さらに、右辺のマイナスをかっこ内にかけることで、次のように変形する。

(1−x)(−x)=−(1−x)x(1 - x)(-x) = -(1 - x)x=(x−1)x= (x - 1)x=x(x−1)= x(x - 1)

先ほど確認した関係式 x(x−1)=0x(x - 1) = 0 を代入すると、次の等式が得られる。

(1−x)2−(1−x)=0(1 - x)^2 - (1 - x) = 0

これを移項すると、次の関係が得られる。

(1−x)2=1−x(1 - x)^2 = 1 - x

一方、関数 f(x,y)f(x, y) の定義は

f(x,y)=(1−x)(1−y)f(x, y) = (1 - x)(1 - y)

である。

この定義式の変数 yy に xx を代入すると、次式のようになる。

f(x,x)=(1−x)(1−x)f(x, x) = (1 - x)(1 - x)

右辺を整理すると、次のようになる。

f(x,x)=(1−x)2f(x, x) = (1 - x)^2

先ほど導出した等式 (1−x)2=1−x(1 - x)^2 = 1 - x を適用すると、次の関係が得られる。

f(x,x)=1−xf(x, x) = 1 - x

よって、整式 1−x1 - x を関数 f(x,y)f(x, y) のみを用いて表すと

f(x,x)f(x, x)

となる。

問 3

整式 x+y−xyx + y - xy を関数 f(x,y)f(x, y) のみを用いて表せ。

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与えられた整式を因数分解の形に関連付けるために変形する。

与えられた整式は

x+y−xyx + y - xy

である。

この式に 1 を足して引くことにより、次のように変形する。

1−(1−x−y+xy)1 - (1 - x - y + xy)

ここで、かっこ内の部分を因数分解する。

1−x−y+xy=(1−x)−y(1−x)1 - x - y + xy = (1 - x) - y(1 - x)=(1−x)(1−y)= (1 - x)(1 - y)

関数 f(x,y)f(x, y) の定義式は f(x,y)=(1−x)(1−y)f(x, y) = (1 - x)(1 - y) であるから、上の式は次のように表せる。

1−x−y+xy=f(x,y)1 - x - y + xy = f(x, y)

これを代入すると、与えられた整式は次のように表される。

x+y−xy=1−f(x,y)x + y - xy = 1 - f(x, y)

ここで、実数 x,yx, y は 00 または 11 のみをとる整数であるため、定義式 f(x,y)=(1−x)(1−y)f(x, y) = (1 - x)(1 - y) より、関数の値 f(x,y)f(x, y) も必ず 00 または 11 のみをとる整数となる。 Question 2 の結果より、 00 または 11 のみをとる任意の整数 zz に対して

1−z=f(z,z)1 - z = f(z, z)

が成り立つ。

この関係式において z=f(x,y)z = f(x, y) とおくと、次の等式が得られる。

1−f(x,y)=f(f(x,y),f(x,y))1 - f(x, y) = f(f(x, y), f(x, y))

したがって、与えられた整式は次のように表される。

x+y−xy=f(f(x,y),f(x,y))x + y - xy = f(f(x, y), f(x, y))

よって、求める表現は

f(f(x,y),f(x,y))f(f(x, y), f(x, y))

となる。

問 4

整式 1−x+xy1 - x + xy を関数 f(x,y)f(x, y) のみを用いて表せ。

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与えられた整式を因数分解の形に関連付けるために変形する。

与えられた整式は

1−x+xy1 - x + xy

である。

この式の第2項と第3項において、共通因数である −x-x をくくり出すことで、次のように因数分解の形に変形する。

1−x(1−y)1 - x(1 - y)

ここで、 xx をさらに因数分解の構成要素に合わせるため、 x=1−(1−x)x = 1 - (1 - x) と変形し、代入する。

1−{1−(1−x)}(1−y)1 - \{1 - (1 - x)\}(1 - y)

関数 f(A,B)f(A, B) の定義式は f(A,B)=(1−A)(1−B)f(A, B) = (1 - A)(1 - B) であるため、 A=1−xA = 1 - x, B=yB = y とおくと、上の式の第2項は次のように表せる。

{1−(1−x)}(1−y)=f(1−x,y)\{1 - (1 - x)\}(1 - y) = f(1 - x, y)

Question 2 の結果より、 1−x=f(x,x)1 - x = f(x, x) であるため、これを代入する。

f(1−x,y)=f(f(x,x),y)f(1 - x, y) = f(f(x, x), y)

したがって、与えられた整式は次のように表される。

1−x+xy=1−f(f(x,x),y)1 - x + xy = 1 - f(f(x, x), y)

実数 x,yx, y は 00 または 11 のみをとる整数であるため、関数の値 f(f(x,x),y)f(f(x, x), y) も必ず 00 または 11 のみをとる整数となる。 Question 2 の結果より、 00 または 11 のみをとる任意の整数 zz に対して

1−z=f(z,z)1 - z = f(z, z)

が成り立つ。

この関係式において z=f(f(x,x),y)z = f(f(x, x), y) とおくと、次の等式が得られる。

1−f(f(x,x),y)=f(f(f(x,x),y),f(f(x,x),y))1 - f(f(x, x), y) = f(f(f(x, x), y), f(f(x, x), y))

したがって、与えられた整式は次のように表される。

1−x+xy=f(f(f(x,x),y),f(f(x,x),y))1 - x + xy = f(f(f(x, x), y), f(f(x, x), y))

よって、求める表現は

f(f(f(x,x),y),f(f(x,x),y))f(f(f(x, x), y), f(f(x, x), y))

となる。

問 5

整式 xyxy を関数 f(x,y)f(x, y) のみを用いて表せ。

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与えられた整式を因数分解の形に関連付けるために変形する。

与えられた整式は

xyxy

である。

ここで、 x=1−(1−x)x = 1 - (1 - x) および y=1−(1−y)y = 1 - (1 - y) とそれぞれ変形し、代入する。

{1−(1−x)}{1−(1−y)}\{1 - (1 - x)\}\{1 - (1 - y)\}

関数 f(A,B)f(A, B) の定義式は f(A,B)=(1−A)(1−B)f(A, B) = (1 - A)(1 - B) であるため、 A=1−xA = 1 - x, B=1−yB = 1 - y とおくと、上の式は次のように表せる。

{1−(1−x)}{1−(1−y)}=f(1−x,1−y)\{1 - (1 - x)\}\{1 - (1 - y)\} = f(1 - x, 1 - y)

Question 2 の結果より、 1−x=f(x,x)1 - x = f(x, x) および 1−y=f(y,y)1 - y = f(y, y) であるため、これらを代入する。

f(1−x,1−y)=f(f(x,x),f(y,y))f(1 - x, 1 - y) = f(f(x, x), f(y, y))

したがって、与えられた整式は次のように表される。

xy=f(f(x,x),f(y,y))xy = f(f(x, x), f(y, y))

よって、求める表現は

f(f(x,x),f(y,y))f(f(x, x), f(y, y))

となる。

問 6

整式 1−xy1 - xy を関数 f(x,y)f(x, y) のみを用いて表せ。

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与えられた整式を因数分解の形に関連付けるために変形する。

与えられた整式は

1−xy1 - xy

である。

Question 5 の結果より、整式 xyxy は次のように表される。

xy=f(f(x,x),f(y,y))xy = f(f(x, x), f(y, y))

これを代入すると、与えられた整式は次のように表される。

1−xy=1−f(f(x,x),f(y,y))1 - xy = 1 - f(f(x, x), f(y, y))

実数 x,yx, y は 00 または 11 のみをとる整数であるため、関数の値 f(f(x,x),f(y,y))f(f(x, x), f(y, y)) も必ず 00 または 11 のみをとる整数となる。 Question 2 の結果より、 00 または 11 のみをとる任意の整数 zz に対して

1−z=f(z,z)1 - z = f(z, z)

が成り立つ。

この関係式において z=f(f(x,x),f(y,y))z = f(f(x, x), f(y, y)) とおくと、次の等式が得られる。

1−f(f(x,x),f(y,y))=f(f(f(x,x),f(y,y)),f(f(x,x),f(y,y)))1 - f(f(x, x), f(y, y)) = f(f(f(x, x), f(y, y)), f(f(x, x), f(y, y)))

したがって、与えられた整式は次のように表される。

1−xy=f(f(f(x,x),f(y,y)),f(f(x,x),f(y,y)))1 - xy = f(f(f(x, x), f(y, y)), f(f(x, x), f(y, y)))

よって、求める表現は

f(f(f(x,x),f(y,y)),f(f(x,x),f(y,y)))f(f(f(x, x), f(y, y)), f(f(x, x), f(y, y)))

となる。

問 7

整式 x+y−2xyx + y - 2xy を関数 f(x,y)f(x, y) のみを用いて表せ。

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与えられた整式を因数分解の形に関連付けるために変形する。

与えられた整式は

x+y−2xyx + y - 2xy

である。

ここで、次の2つの因数の積を考える。

(x+y−xy)(1−xy)(x + y - xy)(1 - xy)

この式を展開すると、次のようになる。

(x+y−xy)(1−xy)=(x+y−xy)−xy(x+y−xy)(x + y - xy)(1 - xy) = (x + y - xy) - xy(x + y - xy)=x+y−xy−(x2y+xy2−x2y2)= x + y - xy - (x^2y + xy^2 - x^2y^2)=x+y−xy−x2y−xy2+x2y2= x + y - xy - x^2y - xy^2 + x^2y^2

実数 x,yx, y は 00 または 11 のみをとる整数であるため、 x2=xx^2 = x および y2=yy^2 = y が成り立つ。これらを代入して整理する。

x+y−xy−xy−xy+xy=x+y−2xyx + y - xy - xy - xy + xy = x + y - 2xy

したがって、次の等式が成り立つ。

x+y−2xy=(x+y−xy)(1−xy)x + y - 2xy = (x + y - xy)(1 - xy)

この式の右辺において、さらに次のように変形を行う。

(x+y−xy)(1−xy)=[1−{1−(x+y−xy)}][1−xy](x + y - xy)(1 - xy) = [1 - \{1 - (x + y - xy)\}][1 - xy]

ここで、関数 f(A,B)=(1−A)(1−B)f(A, B) = (1 - A)(1 - B) の定義式と比較するために、次のように A,BA, B をおく。

A=1−(x+y−xy)A = 1 - (x + y - xy)B=xyB = xy

とおくと、上の式は次のように表せる。

(1−A)(1−B)=f(A,B)(1 - A)(1 - B) = f(A, B)

それぞれの A,BA, B を関数 ff を用いて表す。 まず、 AA について整理する。

A=1−(x+y−xy)A = 1 - (x + y - xy)=1−x−y+xy= 1 - x - y + xy

Question 1 の結果(または因数分解)より、これは次のように表される。

A=f(x,y)A = f(x, y)

次に、 BB について、Question 5 の結果より、これは次のように表される。

B=f(f(x,x),f(y,y))B = f(f(x, x), f(y, y))

これら A,BA, B の表現を f(A,B)f(A, B) に代入すると、次のようになる。

f(A,B)=f(f(x,y),f(f(x,x),f(y,y)))f(A, B) = f(f(x, y), f(f(x, x), f(y, y)))

したがって、与えられた整式は次のように表される。

x+y−2xy=f(f(x,y),f(f(x,x),f(y,y)))x + y - 2xy = f(f(x, y), f(f(x, x), f(y, y)))

よって、求める表現は

f(f(x,y),f(f(x,x),f(y,y)))f(f(x, y), f(f(x, x), f(y, y)))

となる。

補足を表示

本問題で示された事実は、情報科学における論理回路の万能性、特にNOR演算の機能的完全性を代数的に表現したものです。

条件にある変数 x,yx, y が 00 または 11 の値をとる世界は、真理値のみを扱うブール代数に対応します。また、式 (1−A)(1−B)(1 - A)(1 - B) は、論理演算におけるNOR回路そのものを表しています。

各小問の証明過程からわかるように、NOT、AND、OR、XORなど、すべての基本的な論理演算は、NOR演算の組み合わせだけで構築できることが示されています。

実際のコンピューターのCPUやメモリなどの集積回路は、製造工程を簡略化しコストを下げるために単一種類の論理ゲートを大量に組み合わせて作られることがよくあります。NORゲートは単独で機能的完全性を持つため、このゲートだけを敷き詰めることで、いかなる複雑な計算を行う回路も構成することができます。歴史的には、アポロ宇宙船を月に導いたアポロ誘導コンピューターも、すべて3入力NORゲートのみを用いて構成されていました。

このように、一見すると単なる多項式の変形問題にみえる背景には、現在のデジタル社会とコンピューターアーキテクチャの根幹を支える極めて重要な数学的基礎が隠されています。