殺人

Homicide

尊属殺人

刑法第200条

《削除》

第二百條
自己又ハ配󠄁偶者ノ直系尊󠄁屬ヲ殺シタル者ハ死刑又ハ無期懲役ニ處ス
沿革
名みやう例れい律るゐち 八はち虐ぎやく

四曰惡逆謂毆及󠄁謀殺祖父母父母殺伯叔父姑兄姉外祖父母夫夫之父母

四しに曰いはく。惡あく逆ぎやく。祖そ父ぶ母も。父ぶ母もを毆うち及󠄁および殺ころさむと謀はかり。伯はく叔しく父ぶ。姑こ。兄姊くゐやうし。外ぐゑ祖そ父ぶ母も。夫をふと。夫をふとの父ぶ母もを殺ころせるを謂いふ。
賊ぞく盗だう律るゐち  謀殺祖父母父母そぶもぶもをころさんとはかる

凡謀殺祖父母父母外祖父母夫夫之祖父母父母者皆斬

凡およそ祖そ父ぶ母も父ぶ母も。外ぐゑ祖そ父ぶ母も。夫をふと。夫をふとの祖そ父ぶ母も。父ぶ母もを殺ころさんと謀はかれらば。皆かい斬ざむ。

已殺者皆斬

已すでに殺ころせらば皆かい斬ざむ。
謀殺祖父母父母ソフボフボヲボウサツス

凡オヨソ祖ソ父フ母ボ。父フ母ボ。及オヨヒ伯ハク叔シユク父フ。姑シフトメ。兄アニ。姊アネ。若モシクハ外グワイ祖ソウ父フ母ボ。夫ヲツト。夫ヲツトノ祖ソウ父フ母ボ。父フ母ボ。ヲ謀ボウ殺サツスルニ。已スデニ行オコナフ者モノハ。皆カイ斬ザン。已スデニ殺コロス者モノハ。皆カイ梟ケウ。

毆祖父母父母ソフボフボヲウツ

凡オヨソ子シ孫ソン。祖ソ父フ母ボ父フ母ボヲ毆ウチ及オヨヒ妻サイ妾セフ。夫ヲツトノ祖ソ父フ母ボ父母フボヲ毆ウツ者モノハ。皆カイ斬ザン。殺コロス者モノハ。皆カイ梟ケウ。

謀殺祖父母父母ソフボフボヲボウサツスル條テウ例レイ
第百六十八條

凡オヨソ祖ソ父フ母ボ。父フ母ボ。及オヨヒ伯ハク叔シユク父フ。姑シフトメ。兄アニ。姊アネ。若モシクハ外グワイ祖ソウ父フ母ボ。夫ヲツト。夫ヲツトノ祖ソウ父フ母ボ。父フ母ボ。ヲ謀ボウ殺サツスルニ。已スデニ行オコナフ者モノハ。皆カイ斬ザンニ處シヨスル律リツヲ改アラタメ。皆カイ絞カウ。

毆祖父母父母ソフボフボヲウツ條テウ例レイ
第二百二十八條

凡オヨソ子シ孫ソン。祖ソ父フ母ボ父フ母ボヲ毆ウチ。及オヨヒ妻サイ妾セフ。夫ヲツトノ祖ソウ父フ母ボ父フ母ボヲ毆ウツ律リツヲ改アラタメ。毆ウツ者モノハ。懲チヨウ役エキ十ジウ年ネン。傷シヨウスル者モノハ。懲チヨウ役エキ終シユウ身シン。死シニ至イタル者モノハ。皆カイ斬ザン。故コ殺サツスル者モノハ。皆カイ梟ケウ。

改正
刑法(明治13年7月13日太政官布告第36號)
第三百六十二條第一項

子孫シソン其ソノ祖ソ父フ母ボ父フ母ボヲ謀ボウ殺サツ故コ殺サツシタル者モノハ死シ刑ケイニ處ショス

廃止
刑法(明治40年4月24日法律第45號)

明治十三年第三十六号布告刑法ハ此法律施行ノ日ヨリ之ヲ廃止ス

制定
刑法(明治40年4月24日法律第45號)
第二百條

自ジ己コ又マタハ配󠄁偶者ハイグウシヤノ直系チヨクケイ尊󠄁ソン屬ゾクヲ殺コロシタル者モノハ死シ刑ケイ又マタハ無ム期キ懲チヨウ役エキニ處シヨス

廃止
刑法の一部を改正する法律(平成7年5月12日法律第91号)

第二編第二十三章から第四十章 までを次のように改める。 (中略) 第二百条 削除

ふりがな・書き下し文は必要に応じ,公布当時のかなづかいに合わせて編集者が施した。可読性を高めるために,ふりがなにおいてのみ濁点と半濁点を用いている。
用語解説
八はち虐ぎゃく
古代の律において、国家や天皇、あるいは自らの尊属などに対して行う、特に重大とされた8つの犯罪。
惡あく逆ぎゃく
八虐の第4番目に位置する罪。祖父母や父母などの尊属を殺害したり、殺害しようと企てたりする行為。(悪逆)
祖そ父ふ母ぼ
祖父と祖母。(祖父母)
伯はく叔しゅく父ぶ
おじ。父母の兄(伯父)および弟(叔父)。
姑しゅうとめ
夫の母親。あるいは配偶者の母親。
兄けい姊し
兄と姉。(兄姉)
外がい祖そ父ふ母ぼ
母方の祖父母。(外祖父母)
毆うつ
たたく。殴打する。暴力を加える。(殴つ)
徒ず
律令制の五刑の一つ。罪人を一定期間、官役(強制労働)に服させる刑。現代の懲役刑に近い。
斬ざん/斬ざむ
律令制における死刑(極刑)の一種。罪人の首を刀で切り落とす刑。
梟きょう
死刑の一種。斬首したのち、その首を木に掛けて公衆の前にさらす刑。さらし首。梟きょう首しゅ。
謀ぼう殺さつ
あらかじめ計画を立てて、意図的に人を殺害すること。
故こ殺さつ
あらかじめ計画したわけではないが、その場の意志・殺意に基づいて人を殺害すること。現代の殺人罪に相当。
直ちょっ系けい尊󠄁そん屬ぞく
父母や祖父母のように、自分より前の世代にあたる直接の血のつながりがある親族。(直系尊属)
配󠄁はい偶ぐう者しゃ
法律上の婚姻関係にある夫、または妻。(配偶者)
保護法益・立法趣旨
生命
尊属を卑属またはその配偶者が殺害することをもって一般に高度の社会的道義的非難に値するものとし、かかる所為を通常の殺人の場合より厳重に処罰し、もって特に強くこれを禁圧しようとすること。
English
Article 200
Deleted.

尊属殺重罰規定違憲判決

判例

刑法200条は、尊属殺の法定刑を死刑または無期懲役刑のみに限っている点において、その立法目的達成のため必要な限度を遥かに超え、普通殺に関する刑法199条の法定刑に比し著しく不合理な差別的取扱いをするものと認められ、憲法14条1項に違反して無効である。

法学#尊属殺重罰規定違憲判決

law

/law/constitution/rights/equality/law#null-尊属殺重罰規定違憲判決

刑の執行方法

最大判 昭和36年7月19日

要旨
裁判所:最高裁判所大法廷
判例:1961年(昭和36年)7月19日
事件番号:昭和32(あ)2247
出典:刑集 第15巻7号1106頁