1-5-4. 万有引力

Universal Gravitation

ケプラーの法則

定義

ケプラーの法則

第1法則(楕円軌道の法則)

惑星は太陽を一つの焦点とする楕円軌道上を運動する。

第2法則(面積速度一定の法則)

惑星と太陽とを結ぶ線分が,単位時間に掃過する面積(面積速度)は常に一定である。

第3法則(調和の法則)

惑星の公転周期 TT の2乗は,軌道楕円の長半径 aa の3乗に比例する。すなわち,すべての惑星において次の関係式が成り立つ。

T2a3=const.\dfrac{T^2}{a^3} = \text{const.}
導出

万有引力 F=GMmr2(rr)\boldsymbol{F} = -G\dfrac{Mm}{r^2}\left(\dfrac{\boldsymbol{r}}{r}\right) がはたらく質点の運動として,ニュートンの運動方程式からケプラーの法則を数学的に導出する。

第2法則の導出

ある時刻 tt における惑星の位置ベクトルを r\boldsymbol{r},速度ベクトルを v\boldsymbol{v} とし,両者のなす角を θ\theta とする。 微小時間 Δt\Delta t の間に位置ベクトルが掃過する面積 ΔS\Delta S は,作られる三角形の面積として外積を用いて次のように表される。

ΔS=12r×(vΔt)=12rvΔtsinθ\Delta S = \dfrac{1}{2}|\boldsymbol{r} \times (\boldsymbol{v}\Delta t)| = \dfrac{1}{2}rv\Delta t\sin\theta

両辺を Δt\Delta t で割り,極限をとった面積速度 dSdt\dfrac{dS}{dt} は次のようになる。

dSdt=12r×v\dfrac{dS}{dt} = \dfrac{1}{2}|\boldsymbol{r} \times \boldsymbol{v}|

惑星にはたらく万有引力は常に太陽(原点)の方向を向く中心力であるため,力のモーメント r×F\boldsymbol{r} \times \boldsymbol{F} はゼロである。したがって,角運動量 L=m(r×v)\boldsymbol{L} = m(\boldsymbol{r} \times \boldsymbol{v}) は時間に対して保存される。角運動量が一定であることは,面積速度が一定であることを意味し,第2法則が証明される。

第1法則の導出

極座標系 (r,ϕ)(r, \phi) において,向心方向と接線方向の運動方程式をそれぞれ立てる。

{m(d2rdt2r(dϕdt)2)=GMmr2(向心方向)m1rddt(r2dϕdt)=0(接線方向)\begin{cases} m \left( \dfrac{d^2r}{dt^2} - r\left(\dfrac{d\phi}{dt}\right)^2 \right) = -G\dfrac{Mm}{r^2} & \text{(向心方向)} \\ m \dfrac{1}{r} \dfrac{d}{dt}\left( r^2\dfrac{d\phi}{dt} \right) = 0 & \text{(接線方向)} \end{cases}

接線方向の式より,r2dϕdt=hr^2\dfrac{d\phi}{dt} = h (一定)となる。この hh は面積速度の2倍に相当する定数である。 向心方向の運動方程式の両辺に drdt\dfrac{dr}{dt} を掛けて時間 tt で積分すると,力学的エネルギー保存則が得られる。

12(drdt)2+h22r2GMr=const.\dfrac{1}{2}\left(\dfrac{dr}{dt}\right)^2 + \dfrac{h^2}{2r^2} - \dfrac{GM}{r} = \text{const.}

この式を平方完成して整理する。

(drdt)2+h2(1rGMh2)2=C2C は定数)\left(\dfrac{dr}{dt}\right)^2 + h^2 \left( \dfrac{1}{r} - \dfrac{GM}{h^2} \right)^2 = C^2 \quad \text{($C$ は定数)}

ここで,媒介変数 ψ\psi を用いて sinψ=1Cdrdt\sin\psi = \dfrac{1}{C}\dfrac{dr}{dt}cosψ=hC(1rGMh2)\cos\psi = \dfrac{h}{C}\left( \dfrac{1}{r} - \dfrac{GM}{h^2} \right) とおく。 cosψ\cos\psi の式を時間 tt で微分し,sinψ\sin\psi の式と比較すると,dψdt=hr2\dfrac{d\psi}{dt} = \dfrac{h}{r^2} となる。これは dϕdt\dfrac{d\phi}{dt} と完全に一致するため,ψ=ϕ+α\psi = \phi + \alphaα\alpha は積分定数)と表せる。 これを cosψ\cos\psi の式に代入して rr について解くと,

r=h2GM1+ChGMcos(ϕ+α)r = \dfrac{\dfrac{h^2}{GM}}{1 + \dfrac{Ch}{GM}\cos(\phi + \alpha)}

となる。これは極座標における二次曲線の極方程式 r=l1+ecosϕr = \dfrac{l}{1 + e\cos\phi} と同じ形であり,離心率 e=ChGM<1e = \dfrac{Ch}{GM} < 1 のとき,太陽を焦点とする楕円軌道を描くことが証明される。

第3法則の導出

惑星の力学的エネルギーを EE とする。近日点および遠日点においては drdt=0\dfrac{dr}{dt} = 0 となるため,エネルギー保存則の式は次の2次方程式に帰着する。

E=mh22r2GMmr    2Er2+2GmMrmh2=0E = \dfrac{mh^2}{2r^2} - G\dfrac{Mm}{r} \implies 2E r^2 + 2GmM r - mh^2 = 0

この方程式の2つの解が,近日点距離 r1r_1 と遠日点距離 r2r_2 である。解と係数の関係より,

r1+r2=GmME,r1r2=mh22Er_1 + r_2 = -\dfrac{GmM}{E}, \quad r_1 r_2 = -\dfrac{mh^2}{2E}

楕円の長半径 aaa=r1+r22=GmM2Ea = \dfrac{r_1 + r_2}{2} = -\dfrac{GmM}{2E} となる。また,短半径 bb は幾何学的な性質から b=r1r2=mh22Eb = \sqrt{r_1 r_2} = \sqrt{-\dfrac{mh^2}{2E}} と求まる。 惑星の公転周期 TT は,楕円の面積 πab\pi ab を面積速度 h2\dfrac{h}{2} で割ったものであるから,

T=2πabhT = \dfrac{2\pi ab}{h}

両辺を2乗し,aabb の関係式を代入して整理する。

T2=4π2a2b2h2=4π2a2h2(mh22E)=2mπ2a2ET^2 = \dfrac{4\pi^2 a^2 b^2}{h^2} = \dfrac{4\pi^2 a^2}{h^2} \left( -\dfrac{mh^2}{2E} \right) = -\dfrac{2m\pi^2 a^2}{E}

ここで E=GmM2aE = -\dfrac{GmM}{2a} を代入すると,

T2=4π2a3GM    T2a3=4π2GM=const.T^2 = \dfrac{4\pi^2 a^3}{GM} \implies \dfrac{T^2}{a^3} = \dfrac{4\pi^2}{GM} = \text{const.}

となり,周期の2乗が長半径の3乗に比例するという第3法則が証明される。

万有引力の法則と重力

定義

万有引力

質量 MM の物体と質量 mm の物体の間には,互いに引き合う力(万有引力)がはたらく。距離が rr 離れているとき,その力の大きさ FF は万有引力定数 GG を用いて次のように表される。

F=GMmr2F = G\dfrac{Mm}{r^2}
公式

球対称な質量分布が及ぼす万有引力

質量 MM,半径 RR の一様な密度を持つ球状の物体(地球など)が,中心から距離 rr の位置にある質量 mm の物体に及ぼす万有引力 FF は次のように求める。

F={GMmR3r(0rR のとき)GMmr2(Rr のとき)F = \begin{cases} -G\dfrac{Mm}{R^3}r & (0 \le r \le R \text{ のとき}) \\ -G\dfrac{Mm}{r^2} & (R \le r \text{ のとき}) \end{cases}

(※符号のマイナスは引力であることを示す)

導出

球を無数の薄い球殻に分割し,それぞれの球殻が及ぼす引力を足し合わせる(積分する)ことで証明する。

薄い球殻が及ぼす引力

半径 aa,質量 ΔM\Delta M の薄い球殻を考える。球殻の中心を原点とし,質量 mm の物体が距離 rr の位置(点P)にあるとする。 球殻を,点Pと原点を結ぶ軸に対して角度 θ\theta の位置にある微小な帯(幅 adθa d\theta)に分割する。この帯の質量 ΔM\Delta M' は,表面積の比から ΔM=12ΔMsinθdθ\Delta M' = \dfrac{1}{2}\Delta M \sin\theta d\theta となる。 帯上の点から点Pまでの距離を ll とすると,余弦定理より l2=r2+a22racosθl^2 = r^2 + a^2 - 2ra\cos\theta である。 この帯が点Pの物体に及ぼす引力のうち,中心方向( xx 軸方向)の成分 dfdf は,幾何学的な関係から次のように表される。

df=GmΔMl2racosθl=GmΔM2(racosθ)sinθ(r2+a22racosθ)3/2dθdf = -G\dfrac{m \Delta M'}{l^2} \dfrac{r - a\cos\theta}{l} = -G\dfrac{m \Delta M}{2} \dfrac{(r - a\cos\theta)\sin\theta}{(r^2 + a^2 - 2ra\cos\theta)^{3/2}} d\theta

これを θ=0\theta = 0 から π\pi まで積分する。x=acosθx = a\cos\theta と置換積分を行うと,

f=GmΔM2aaarx(r2+a22rx)3/2dxf = -\dfrac{Gm\Delta M}{2a} \int_{-a}^a \dfrac{r - x}{(r^2 + a^2 - 2rx)^{3/2}} dx

被積分関数を 12r(1r2+a22rx+r2a2(r2+a22rx)3/2)\dfrac{1}{2r} \left( \dfrac{1}{\sqrt{r^2 + a^2 - 2rx}} + \dfrac{r^2 - a^2}{(r^2 + a^2 - 2rx)^{3/2}} \right) と変形して積分を実行すると,

f=GmΔM4ar2[r2+a22rx+r2a2r2+a22rx]aaf = -\dfrac{Gm\Delta M}{4ar^2} \left[ -\sqrt{r^2 + a^2 - 2rx} + \dfrac{r^2 - a^2}{\sqrt{r^2 + a^2 - 2rx}} \right]_{-a}^a

x=ax=a および x=ax=-a を代入し,(ra)2=ra\sqrt{(r-a)^2} = |r-a| に注意して整理する。

f=GmΔM4ar2(ra+r2a2ra+r+ar2a2r+a)f = -\dfrac{Gm\Delta M}{4ar^2} \left( -|r-a| + \dfrac{r^2 - a^2}{|r-a|} + r + a - \dfrac{r^2 - a^2}{r+a} \right)

ここで,r>ar > a (球殻の外側)のときは ra=ra|r-a| = r-a となり,括弧内は 4a4a となる。ゆえに f=GmΔMr2f = -G\dfrac{m\Delta M}{r^2} となる。 一方,r<ar < a (球殻の内側)のときは ra=ar|r-a| = a-r となり,括弧内は 00 となる。ゆえに f=0f = 0 となる。

地球全体が及ぼす引力

この結果から,物体が地球の外部( rRr \ge R )にあるときは,地球を構成するすべての球殻からの引力が「中心に全質量 MM が集中している」のと同じように振る舞うことが証明される。

物体が地球の内部( 0rR0 \le r \le R )にあるときは,距離 rr より外側にある球殻からの引力は完全に相殺されてゼロになる。したがって,半径 rr の内側にある質量 M(r)M(r) のみが引力に寄与する。 地球の密度を一定とすると,質量は体積に比例するため M(r)=Mr3R3M(r) = M \dfrac{r^3}{R^3} となる。これを代入すると,

F=GM(r)mr2=GMr3R3mr2=GMmR3rF = -G\dfrac{M(r)m}{r^2} = -G\dfrac{M \frac{r^3}{R^3} m}{r^2} = -G\dfrac{Mm}{R^3}r

となり,地球内部では引力が中心からの距離 rr に比例することが導出される。

公式

遠心力・万有引力と重力

角速度 ω\omega で自転している半径 RR,質量 MM の地球上の,緯度 ϕ\phi の点における重力加速度 gg は次のように求める。

g=(GMR2)2+(ω2Rcosϕ)22GMω2cos2ϕRg = \sqrt{\left(\dfrac{GM}{R^2}\right)^2 + (\omega^2 R\cos\phi)^2 - \dfrac{2GM\omega^2\cos^2\phi}{R}}
導出

地球上の物体が受ける「重力」は,地球が及ぼす万有引力と,地球の自転に伴う遠心力の合力として定義される。 質量 mm の物体にはたらく万有引力の大きさは F=GMmR2F = G\dfrac{Mm}{R^2} であり,地球の中心を向く。 緯度 ϕ\phi における自転軸からの距離は RcosϕR\cos\phi であるため,遠心力の大きさは f=m(Rcosϕ)ω2f = m(R\cos\phi)\omega^2 であり,自転軸から垂直に遠ざかる向きにはたらく。

万有引力ベクトルと遠心力ベクトルのなす角は πϕ\pi - \phi である。重力の大きさを W=mgW = mg とし,余弦定理を用いて合力の大きさを計算する。

W2=F2+f22Ffcos(πϕ)=F2+f2+2FfcosϕW^2 = F^2 + f^2 - 2Ff\cos(\pi - \phi) = F^2 + f^2 + 2Ff\cos\phi

(※遠心力と万有引力のなす角を考慮し,符号を整理すると W2=F2+f22FfcosϕW^2 = F^2 + f^2 - 2Ff\cos\phi となる)

これらに FFff の式を代入し,両辺を m2m^2 で割って平方根をとることで,重力加速度 gg の厳密な式が導出される。

万有引力の位置エネルギー

公式

万有引力の位置エネルギー

質量 MM,半径 RR の地球が,中心から距離 rr の位置にある質量 mm の物体に万有引力を及ぼすとき,無限遠( rr \to \infty )を基準とする物体の位置エネルギー UU は次のように求める。

U={GMm2R3(3R2r2)(0rR のとき)GMmr(Rr のとき)U = \begin{cases} -G\dfrac{Mm}{2R^3}(3R^2 - r^2) & (0 \le r \le R \text{ のとき}) \\ -G\dfrac{Mm}{r} & (R \le r \text{ のとき}) \end{cases}
導出

位置エネルギーは,物体を無限遠から距離 rr の位置まで,万有引力に逆らってゆっくりと移動させるために外力 FextF_{\text{ext}} がする仕事として定義される。外力は万有引力とつり合うため,引力と逆向き(外向き)に Fext=FF_{\text{ext}} = -F の大きさではたらく。

地球の外部( RrR \le r )の場合

外力は Fext=GMmx2F_{\text{ext}} = G\dfrac{Mm}{x^2} である。無限遠から rr まで積分すると,

U=rGMmx2dx=[GMmx]r=GMmrU = \int_\infty^r G\dfrac{Mm}{x^2} \, dx = \left[ -G\dfrac{Mm}{x} \right]_\infty^r = -G\dfrac{Mm}{r}

となる。

地球の内部( 0rR0 \le r \le R )の場合

無限遠から地表 RR までの仕事と,地表から内部 rr までの仕事を足し合わせる。内部での外力は Fext=GMmR3xF_{\text{ext}} = G\dfrac{Mm}{R^3}x である。

U=RGMmx2dx+RrGMmR3xdx=GMmR+[GMm2R3x2]Rr=GMmR+GMm2R3(r2R2)=GMm2R3(2R2)+GMm2R3(r2R2)=GMm2R3(3R2r2)\begin{aligned} U &= \int_\infty^R G\dfrac{Mm}{x^2} \, dx + \int_R^r G\dfrac{Mm}{R^3}x \, dx \\ &= -G\dfrac{Mm}{R} + \left[ G\dfrac{Mm}{2R^3}x^2 \right]_R^r \\ &= -G\dfrac{Mm}{R} + G\dfrac{Mm}{2R^3}(r^2 - R^2) \\ &= -G\dfrac{Mm}{2R^3}(2R^2) + G\dfrac{Mm}{2R^3}(r^2 - R^2) \\ &= -G\dfrac{Mm}{2R^3}(3R^2 - r^2) \end{aligned}

これにより,地球内部における位置エネルギーの二次関数的な変化が導出される。

宇宙速度と地球内部の運動

公式

第1宇宙速度

物体が半径 RR の地球の表面に限りなく近い高度で等速円運動するために必要な速度(第1宇宙速度) v1v_1 は次のように求める。ただし地表での重力加速度を gg とする。

v1=gRv_1 = \sqrt{gR}
導出

質量 mm の物体が地表すれすれで等速円運動をするとき,向心力は重力 mgmg に等しい。運動方程式を立てると,

mv12R=mg    v1=gRm\dfrac{{v_1}^2}{R} = mg \implies v_1 = \sqrt{gR}

が導出される。

公式

第2宇宙速度

物体が地球の重力を完全に振り切り,無限遠へ到達するために必要な最小の初速度(第2宇宙速度または脱出速度) v2v_2 は次のように求める。

v2=2gRv_2 = \sqrt{2gR}
導出

地表で初速度 v2v_2 を与えられた物体が,無限遠でちょうど速度がゼロになるときの力学的エネルギー保存則を立てる。地表での重力加速度 g=GMR2g = \dfrac{GM}{R^2} を用いる。

12mv22GMmR=0    v2=2GMR=2gR\dfrac{1}{2}m{v_2}^2 - G\dfrac{Mm}{R} = 0 \implies v_2 = \sqrt{\dfrac{2GM}{R}} = \sqrt{2gR}
公式

第3宇宙速度

物体が地球の重力だけでなく,太陽の重力をも振り切って太陽系外へ脱出するために必要な,地表での最小の初速度(第3宇宙速度) v3v_3 は次のように求める。 ただし,地球の質量を MM_\oplus,太陽の質量を MM_\odot,地球の公転軌道半径を rr とする。

v3=2GMR+2Gr(M+M2MM)v_3 = \sqrt{\dfrac{2GM_\oplus}{R} + \dfrac{2G}{r}\left(M_\oplus + M_\odot - 2\sqrt{M_\oplus M_\odot}\right)}
導出

まず,地球の公転軌道上から太陽の重力を振り切るために必要な,太陽に対する速度 vv_\odot を求める。

12mv2GMmr=0    v=2GMr\dfrac{1}{2}m{v_\odot}^2 - G\dfrac{M_\odot m}{r} = 0 \implies v_\odot = \sqrt{\dfrac{2GM_\odot}{r}}

地球自身は太陽のまわりを公転速度 v=GMrv_\oplus = \sqrt{\dfrac{GM_\odot}{r}} で運動している。地球の公転方向と同じ向きに探査機を打ち出すとすると,地球から見た相対的な脱出速度 vv_{\infty} は,

v=vv=(21)GMrv_{\infty} = v_\odot - v_\oplus = (\sqrt{2} - 1)\sqrt{\dfrac{GM_\odot}{r}}

となる。この速度 vv_{\infty} は,地球の重力圏を脱出した直後に探査機が持っていなければならない速度である。 最後に,地表から打ち出す際の力学的エネルギー保存則を立てる。

12mv32GMmR=12mv2\dfrac{1}{2}m{v_3}^2 - G\dfrac{M_\oplus m}{R} = \dfrac{1}{2}m{v_{\infty}}^2

これを v3v_3 について解き整理することで,第3宇宙速度の式が導出される。

公式

地球内部の単振動

半径 RR の地球を貫くように直線状の細長いトンネルを掘り,その中に小物体を静かに落とした。小物体がトンネル内で単振動をするときの周期 TT は次のように求める。 ただし,地球は一様な密度を持ち,自転の影響や空気抵抗は無視できるものとする。

T=2πRgT = 2\pi\sqrt{\dfrac{R}{g}}
導出

地球の中心を原点Oとし,トンネルに沿って xx 軸をとる。トンネルの中心(原点からトンネルに下ろした垂線の足)をHとする。 地球内部の距離 rr の位置にある質量 mm の物体にはたらく万有引力は,中心Oに向かって F=GMmR3rF = -G\dfrac{Mm}{R^3}r である。地表での重力 mg=GMmR2mg = G\dfrac{Mm}{R^2} を用いると,F=mgRrF = -\dfrac{mg}{R}r と書ける。

この力のうち,トンネルに沿った方向( xx 軸方向)の成分 FxF_x を求める。位置 xx における力と xx 軸のなす角を θ\theta とすると,幾何学的に cosθ=xr\cos\theta = \dfrac{x}{r} であるから,

Fx=Fcosθ=(mgRr)xr=mgRxF_x = F \cos\theta = \left( -\dfrac{mg}{R}r \right) \dfrac{x}{r} = -\dfrac{mg}{R}x

となる。これを用いてトンネル内の運動方程式を立てると,

md2xdt2=mgRx    d2xdt2=gRxm\dfrac{d^2x}{dt^2} = -\dfrac{mg}{R}x \implies \dfrac{d^2x}{dt^2} = -\dfrac{g}{R}x

これは角振動数 ω=gR\omega = \sqrt{\dfrac{g}{R}} の単振動の運動方程式に他ならない。 したがって,その周期 T=2πωT = \dfrac{2\pi}{\omega} を計算することで,T=2πRgT = 2\pi\sqrt{\dfrac{R}{g}} が導出される。